デザイナーを探そうとしたとき、最初にぶつかるのは「どこで探せばいいのか」「何を基準に選べばいいのか分からない」という問題だと思います。
Googleで検索するのか、SNSで探すのか、クラウドソーシングを使うのか。それとも、有名な制作会社へ頼むのか。候補が見つかったとしても、実績が多い人がいいのか、価格が安い人がいいのか、知名度のある会社が安心なのか。選択肢が多いほど、かえって判断は難しくなります。
僕自身デザイナーとして仕事をしていますが、依頼する側の立場で考えるなら、まずは自分の会社や店舗から遠すぎない場所にいるフリーランスや小規模なデザインスタジオを、GoogleやSNSで探すと思います。
もちろん、これがすべての会社にとって正解というわけではありません。大規模なプロジェクトなら制作会社の方が向いていることもありますし、求めている作風や専門性によっては、遠方のクリエイターへ依頼する価値もあります。
ただ、長く付き合えるデザイナーを探すのであれば、作品の上手さだけではなく、事業への理解、知識の範囲、物理的な距離、担当者との関係性、そして一緒に考えられるかどうかまで含めて選ぶことが大切です。
この記事では、デザイナーをどこで探すのかという具体的な方法から、失敗しにくい相手を見極める考え方まで整理します。Webデザイナーだけでなく、グラフィックデザイナー、イラストレーター、映像制作者、アニメーション作家など、クリエイター全般に共通する話として読んでもらえればと思います。
① 結論:近い距離にいるフリーランスを、GoogleやSNSで探してみる
「デザイナーはどこで探せばいいですか?」と聞かれたら、僕ならまずGoogleとSNSを使います。
検索するなら、「デザイナー」という大きな言葉だけではなく、
- Webデザイナー 千葉
- グラフィックデザイナー 船橋
- 採用 デザイン 千葉
- 飲食店 デザイナー 東京
- 運送会社 Web制作
というように、地域・業界・目的・作りたいものを組み合わせて探します。
InstagramやXなどのSNSから、地域名や業種と「デザイナー」「クリエイター」を組み合わせて探すのもいいと思います。作品を見ながら探せるので、自分たちと感覚が近そうな人を見つけやすい方法です。
もちろん、ココナラ、クラウドワークス、ランサーズなどのサービスを使う方法もあります。多くの候補から料金や実績を比較できるため、単発の仕事では非常に便利です。一方で、長期的なパートナーを探す場合には、価格や評価だけでは分からない部分も多いため、その人自身のWebサイトやSNS、発信している文章まで見てみることをおすすめします。
② なぜフリーランスや小さなスタジオをおすすめするのか
一番大きい理由は、実際に考える人、作る人と直接話せる可能性が高いからです。
制作会社の場合、営業担当、ディレクター、デザイナー、エンジニアなどが分業されていることがあります。それ自体は決して悪いことではありません。むしろ、大規模なWebサイトや多数のスタッフが関わるプロジェクトでは、組織化されていることが大きな強みになります。
一方で、中小企業や店舗の仕事では、「今度こういうことをやりたいんだけど」「このチラシどう思う?」「採用をもう少し強くしたい」といった、小さな相談が日常的に発生します。
そんなときに、毎回別の営業担当へ説明するのではなく、「この人に話せば会社のことを分かってくれる」という相手がいることには、かなり大きな価値があります。
③ デザイナーには、コンサルタントに近い役割もある
デザイナーというと、「頼まれたものをきれいに作る人」というイメージを持たれがちです。
もちろん、それも大切な仕事です。でも、企業や店舗と関わるデザイナーには、もう少しコンサルタントに近い役割もあると僕は考えています。
たとえば、「採用チラシを作りたい」という相談を受けたとします。言われた通りにチラシを作ることはできます。ただ、本当の目的が「求人への応募を増やしたい」なのであれば、チラシを作ることが最優先とは限りません。
求人ページが分かりにくいのかもしれない。会社の魅力が整理されていないのかもしれない。求職者が会社を知る接点そのものが少ないのかもしれない。SNSを動かした方が効果的かもしれないし、採用サイトを整える方が先かもしれません。
つまり、いいデザイナーは「どう作るか」だけではなく、「そもそも何をするべきか」についても意見を出してくれる存在です。
もちろん、経営コンサルタントとデザイナーは別の仕事です。ただ、Web、広告、SNS、採用、集客、ブランディングなど、企業と顧客の接点を日常的に考えているクリエイターだからこそ見えることもあります。
実例|G.N.M運送:求人の相談から、会社の顔づくりへ

たとえば、studio MONDAY BLUEで継続してお手伝いしているG.N.M運送株式会社様との仕事は、「求人に困っている」という相談から始まりました。
そこで、すぐに求人広告だけを作るのではなく、社長ご夫妻の親しみやすさそのものを会社の魅力として伝えられないかと考え、キャラクターをご提案しました。
そこからSNS漫画、採用LP、名刺、トラックラッピングなどへ展開し、採用という一つの課題から、少しずつ会社全体の見え方をつくる仕事へ広がっています。
大切なのは「キャラクターを作ったこと」ではなく、最初から制作物を決めず、目的から必要なものを考えたことです。
こうした「制作する前から一緒に考える」という関係については、こちらの記事でも詳しく書いています。
→ クリエイティブパートナーを社外に。デザイン・動画・Webをまとめて相談できるという選択肢
④ 「デザインが上手い」だけで選ばない
デザイナーを探すと、どうしてもポートフォリオに目が行きます。もちろん、実際に何を作れるのかを見ることは大切です。
ただ、自分の好きな作品を作っている人と、自分の会社に合ったものを作ってくれる人は、必ずしも同じではありません。
特に企業の仕事では、デザイナー自身の作風を披露することより、その会社の商品、顧客、目的、ブランドに合わせて表現を変えられることの方が重要になる場合があります。
ポートフォリオを見るときも、「きれい」「格好いい」だけでなく、
- なぜこのデザインになったのか
- どんな課題に対して制作したのか
- 案件ごとに表現を変えられているか
- 制作後にどう使われているのか
- 見た目以外の部分まで考えているか
まで見てみると、そのデザイナーの考え方がかなり見えてきます。
⑤ 自分の業界と、知識の範囲がズレすぎていないか
もうひとつ確認しておきたいのが、デザイナーが持っている知識の範囲です。
必ずしも「自分と同じ業界の制作実績がある人」でなければいけないわけではありません。むしろ、異業種の知識や経験が新しいアイデアにつながることもあります。
ただ、あまりにも自分たちの事業や顧客とかけ離れている場合は、意思疎通に時間がかかったり、提案が現実とズレてしまったりすることがあります。
たとえばBtoB企業の採用を考える仕事と、アパレルブランドの商品ビジュアルを作る仕事では、必要になる知識も、相手にする人も、効果の考え方もかなり違います。
だから、経験業界だけを見るというよりも、「この人は自分たちの商売を理解しようとしてくれるか」を見た方がいいと思います。
業界経験がなくても、顧客は誰なのか、どこから問い合わせが来るのか、競合との違いは何なのか、現在何に困っているのか、と質問してくれる人なら、一緒に理解を深めていけます。
逆に、どれだけ作品が上手くても、自分の得意な表現へ何でも当てはめようとする人とは、長期的にはズレが出てくる可能性があります。
⑥ できれば、物理的な距離も遠すぎない方がいい
今はオンラインだけでも、ほとんどの制作を進められます。実際、僕自身もオンラインだけで完結する仕事を多く行っています。
それでも、長期的なパートナーを探すのであれば、物理的に遠すぎないことにはメリットがあります。
- 必要なら会社や店舗を訪問できる
- 実際の職場や社員の雰囲気を見ることができる
- 写真や動画の撮影にも対応しやすい
- 直接会って相談するという選択肢を残せる
- 地域や商圏について共通認識を持ちやすい
特に、採用やブランディング、店舗の集客などでは、Webサイト上の情報だけでは分からない「その会社らしさ」が重要になることがあります。
もちろん、距離だけを理由に優秀なデザイナーを候補から外す必要はありません。ただ、同じくらい相性のいい人が二人いるのであれば、「必要なら実際に会える距離」の人を選ぶのは合理的だと思います。
⑦ 長く付き合えるデザイナーを選ぶ
デザインの外注というと、一件ごとの制作物として考えがちです。
でも、本当に相性のいいデザイナーが見つかったなら、できれば長く付き合った方がいい。
仕事を重ねるほど、デザイナーの中に会社についての情報が蓄積されていくからです。
最初は「うちの会社はこういう会社で」「お客様はこういう人で」「この商品にはこういう背景があって」という説明が必要です。でも何度も仕事をしていると、過去の制作物、会社の考え方、顧客層、デザインの好み、これから目指したい方向まで共有された状態になります。
そうなると、
「今度こういうことをやりたいんだけど、どう思う?」
というところから話を始められるようになります。
実例|丸オ奥田商店:仕事を重ねるほど、会社への理解が増えていく

有限会社丸オ奥田商店様とは、ロゴやブランドルール、キャラクターから、チラシ、DM、新聞、年賀状、名刺、日々のお知らせまで、継続してさまざまなクリエイティブを制作しています。
ここで重要なのは、単純に「たくさん作っている」ということではありません。一件ずつ仕事を重ねる中で、会社の歴史、事業、お客様、地域との関わり方についての理解が少しずつ増え、それを次の仕事へ活かせるようになることです。
毎回ゼロから会社について説明するのではなく、共有してきた背景を前提に、次の一手を考えられる。長く付き合うデザイナーを持つ大きなメリットだと思います。
長く付き合うデザイナーとの関係については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
→ 専属デザイナーはこう使え。デザインを頼む前に、考え方を借りる
⑧ 担当者が変わらないことも、意外と大事
制作会社へ依頼するときに意外と見落とされるのが、「会社」ではなく「誰と仕事をするのか」という点です。
会社として実績が豊富でも、実際に自分を担当する人が誰なのかは別の話です。また、長期的に付き合っている中で担当替えや退職があると、それまで共有してきた背景や細かな感覚を、新しい担当者へもう一度共有し直す必要が出てくることがあります。
これはフリーランスや小さなスタジオへ直接依頼するメリットのひとつです。基本的には、相談する人、考える人、実際に作る人が大きく変わりません。
もちろん、一人や少人数だからこそ対応できる仕事量には限界があります。ただ、中小企業や店舗が「何かあったときに相談できる人」を探しているのであれば、同じ人と長く話し続けられることにはかなり大きな価値があります。
⑨ フリーランス・制作会社・大手、それぞれに向いている仕事がある
ここまで読むと、フリーランスをおすすめしているように見えるかもしれませんが、制作会社よりフリーランスの方が優れている、という話ではありません。
たとえば、大規模なWebサイト、多人数での撮影、全国規模のキャンペーン、大量の制作物を短期間で展開する案件などでは、制作会社の組織力が大きな強みになります。
一方で、
- 名刺やチラシなど小さな仕事から始めたい
- WebやSNSについて継続的に相談したい
- 採用や集客について一緒に考えてほしい
- 会社のことを長く理解してほしい
- 毎回担当者が変わらない方がいい
という場合には、フリーランスや小規模なスタジオとの相性がいいと思います。
制作会社へ依頼するときに気をつけたいことについては、制作会社に丸投げして失敗するケースでも紹介しています。
⑩ いいデザイナーかどうかは、最初の会話でも分かる
気になるデザイナーが見つかったら、作品だけで判断せず、一度問い合わせをして話してみるのがおすすめです。
そのとき、僕なら次のようなところを見ます。
- いきなり作り始めず、目的や背景を聞いてくれるか
- 「何を作りたいか」だけでなく「何を変えたいか」を聞いてくれるか
- 自分の意見と違うときに、理由を説明してくれるか
- 知らない業界について、分かったふりをせず質問してくれるか
- 自分の得意な表現を押しつけてこないか
- 数年付き合うことを想像したとき、気軽に相談できそうか
質問の内容には、その人が普段どこまで考えて仕事をしているかがかなり表れます。
こちらからの伝え方に迷った場合は、デザイナー依頼で「センスにお任せします」は、実際どう?も参考にしてみてください。
⑪ 最初から大きな仕事を頼まなくてもいい
そして、相性を判断する一番確実な方法は、実際に一度仕事をすることです。
最初からWebサイトを全面リニューアルしたり、会社全体のブランディングを任せたりする必要はありません。名刺一枚でも、バナー一枚でも、既存サイトの小さな修正でも構いません。
小さな仕事でも、レスポンスのテンポ、ヒアリングの仕方、提案の内容、修正時の対応、こちらの意図を理解する力はかなり分かります。
そこから、「もう少し相談してみたい」と思ったら、少しずつ仕事の範囲を広げればいい。
実例|MAHALAGA:制作物ではなく、商品とお客様の接点を考える

MAHALAGAでは、Webサイトだけではなく、コピー、ロゴ、パッケージ、名刺型POPなど、商品がお客様と出会い、興味を持ってもらい、購入するまでの接点を横断して制作しています。
WebはWeb、パッケージはパッケージと分けて考えるのではなく、「この商品をどう知ってもらい、どう感じてもらうか」という一つの目的から考えることで、それぞれの制作物にもつながりが生まれます。
こうした関係も、一度の仕事ですべて完成するというより、仕事を重ねながら事業や商品への理解が深まっていくことで作られていきます。
⑫ まとめ|近くにいる「一緒に考えられる人」を探してみる
「デザイナーはどこで探せばいいですか?」と聞かれたら、僕ならまず、GoogleやSNSで、自分の会社からそれほど遠くない場所にいるフリーランスや小さなデザインスタジオを探してみてくださいと答えます。
作品を見る。仕事について書いている文章を読む。自分たちの業界や事業を理解できそうかを見る。活動している場所を見る。そして、実際に一度話してみる。
その中で、「この人なら話が通じそうだな」と思える人を探してみてください。
デザイナーは、一度きりの制作物を買う相手とは限りません。会社のことを理解し、採用、集客、広報、新しい事業について、「これ、どう思う?」と相談できる相手になれば、その価値は制作物一つの価格だけでは測れなくなります。
もちろん、ここまで読んで、
「で、結局誰に相談したらいいんだ」
と思った方は、studio MONDAY BLUEにも声をかけてください。
ただ、MONDAY BLUEがすべての会社に合うとも思っていません。業界、仕事の規模、求める表現、距離、予算、仕事の進め方、そして単純に人と人との相性もあります。
だからこそ、まず一度話してみて、お互いに「一緒に仕事ができそうだ」と思えれば、そこから始めるくらいがちょうどいいと思っています。
MONDAY BLUEでは、デザイン、Web、映像、イラストといった制作だけでなく、広報・採用・集客など「何をするべきか」の段階から一緒に考える、社外のクリエイティブ担当という関わり方をしています。



