石けんを売る前に、 「誰の、どんな時間になるか」を考えた。
MAHALAGAは、 タガログ語で「大切な」「価値のある」という意味を持つ言葉です。 商品は、新島で育てた明日葉と、 沖縄産のクチャ(海泥)を使った80gの手づくり洗顔石けん。 フランキンセンスとラベンダーの香りをまとい、 日々をがんばった人の時間に そっと寄り添うプロダクトとしてつくられています。
制作で最初に考えたのは、 機能をどう並べるかではありませんでした。 忙しい人ほど、自分に厳しくなりやすい。 少なくとも制作側である自分自身がそうで、 休むことや、自分に何かをしてあげることにすら 理由が必要になることがあります。
今の自分を甘やかすのは難しくても、 未来の自分に優しさを残すことならできるかもしれない。 夜に石けんを使う数分が、 翌日の自分を少し整える時間になればいい。 その発想から、ブランドを貫くコピーとして 「あしたの自分に優しさを。」 をつくりました。
あしたの自分に
優しさを。
セルフケアを「今の自分へのご褒美」だけで終わらせず、 未来の自分への小さな贈り物として捉え直す言葉です。
明日葉、クチャ、新島の海。 素材の背景まで、棚の上で伝わる顔に。
パッケージは、まず 店頭で「欲しい」と思えること を大切にしました。 明日葉の葉をモチーフにした繊細なパターン、 海を思わせる青緑、 クチャの土や手仕事を感じさせる紙の風合い。 爽やかすぎず、自然派に寄りすぎず、 MAHALAGAの石けんが持つ深いグリーンと調和する、 静かな存在感を目指しています。
新島のミルキーブルーの海や強い潮風、 島で育つ明日葉。 そこに沖縄の海から生まれたクチャという 異なる土地の素材が重なります。 その背景を説明文で詰め込むのではなく、 色、余白、葉の線、質感に分散させることで、 手に取る前から商品の由来を なんとなく感じられるパッケージにしました。
名刺を「連絡先」ではなく、 店頭で人を止めるPOPにする。
名刺は、 一般的なショップカードとしてだけではなく、 石けんのそばに置く 小さなPOP として設計しました。 商品を見た人が一瞬で理解できる情報量には限界があります。 そこで、表面は説明を増やさず 「あしたの自分に優しさを。」というコピーを大きく置き、 まず心に引っかかることを優先しています。
紙の印象も、 パッケージの世界観から離れないように、 ツヤを抑えたやわらかな質感へ。 角を丸くすることで、 カードを手に取ったときの硬さを減らし、 植物の曲線や石けんの「やさしさ」と感覚を揃えました。 均整の取れた企業的な名刺より、 人の手のぬくもりが少し残るもの を目指しています。
裏面にはQRコードを大きく配置。 コピーで興味を持った人が、 その場でスマートフォンを取り出し、 LPへ移れるようにしました。
QRの先では、すぐ売らない。 まず「なぜこの石けんなのか」を伝える。
LPは、 店頭で気になってQRを読み込んだ人のためのページです。 すでに商品を一度見ている人に、 同じ情報を繰り返す必要はありません。 そこで、ファーストビューでは コピーと商品の空気感を引き継ぎ、 その先で明日葉やクチャ、 ブランドに込めた想いを読める構成にしました。
「込めた想いをみる」と 「購入ページへ」を分けたのも意図的です。 すぐ購入したい人は迷わず先へ進める一方で、 まだ決めきれていない人には、 先に商品の背景を知ってもらえる。 説明と購入を一つのボタンに押し込まず、 気持ちの温度に合わせて入口を分ける 設計です。
Webだけを綺麗に見せるのではなく、 パッケージと同じ青緑、葉の曲線、余白、 紙のようなやわらかいトーンを保ちました。 店頭のカードからスマートフォンへ移っても、 別のブランドに来たように感じさせないためです。
パッケージで興味をつくり、 カードのコピーで感情を動かし、 LPで理由を理解してもらい、 購入ページへ。 各制作物がそれぞれ完結するのではなく、 次の接点へ役割を渡していく構成にしています。
「見つける」から「買う」まで、 ひとつの世界観でつなぐ。
今回の仕事で重要だったのは、 パッケージ、名刺、LPを 同じ色にすることではありません。 接点ごとに役割を変えながら、 同じ気持ちを渡していくことでした。
棚の中で目に留まり、 素材と空気感から 「使ってみたい」をつくる。
→「あしたの自分に優しさを。」で 感情に引っかかりをつくる。
→QRから商品の背景と、 ブランドに込めた想いを読む。
→納得できた状態で、 そのまま購入へ進む。
店頭での一瞬の出会いから、 スマートフォンの中で深く知る時間まで。 違う媒体をつなぐことで、 商品説明ではなく 「自分を少し大切にしてみよう」と思える体験 をつくること。 それがMAHALAGAで目指したブランド設計です。
MAHALAGAという名前から、購入まで。
「大切な/価値のある」という名前、 島の素材、 手づくりの石けん、 人の手に近い紙の質感、 そして「あしたの自分に優しさを。」という言葉。 すべてを一つの軸に集めることで、 デザインの統一ではなく、 ブランドの意味そのものを統一しました。