求職者調査と制作経験から、入れるべき内容を100点満点で採点してみた

前回、「そもそも採用サイトは本当に必要なのか」というところから、採用サイトの役割や実際の効果、コーポレートサイトと分けるべきなのかまで徹底的に調べました。

結論として、すべての企業に独立した採用サイトが必要なわけではありません。ただ、求職者が仕事内容や条件、働き方、会社の考え方を理解して、「自分がここで働くかどうか」を判断できる場所を持つことには、かなり大きな意味がありそうです。

採用サイト自体の必要性については、こちらの記事で詳しくまとめています。

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採用サイトは本当に必要なのか

採用サイトの役割や実際の効果、コーポレートサイトと分けるべきかについて、 求職者調査や企業事例、研究から検証しています。

採用サイトの必要性について詳しく読む →

では、採用サイトを作ることになったとして、次に出てくる疑問があります。

「何を載せればいいのか?」

採用サイトを見ると、社員インタビュー、代表メッセージ、一日の流れ、福利厚生、数字で見る会社、採用動画など、いろいろなコンテンツがあります。最近では派手なアニメーションや、ブランドサイトのように世界観を強く打ち出したものも珍しくありません。

でも、全部載せれば採用に強くなるわけではないはずです。

僕自身これまで採用サイトを制作する中で、「これはかなり必要だ」と感じる情報もあれば、「定番だから載せているけれど、本当に必要なんだろうか」と感じるものもありました。仕事内容や給与が重要なのは分かりやすい。でも、それだけで「ここで働きたい」と思えるのか。休日や残業だけでなく、仕事を始めたら自分のプライベートがどうなるのかまで分かった方がいいのではないか。三年後のキャリアはどうなるのか。この仕事をする意味や、実際に働く人が感じているやりがいはどうなのか。会社はこれからどこへ向かうのか。

求職者が「この会社で働く」と判断するために必要な情報を考えていくと、単に募集要項を詳しくするだけでは足りないように思います。

そこで今回は、求職者調査、厚生労働省などの資料、採用サイトに関する研究、そして実際に企業の採用サイトを制作してきた経験を合わせながら、「採用サイトに入れる価値」を100点満点で採点してみます。

先に断っておくと、この点数は公的機関などが発表している公式スコアではありません。求職者の応募判断への影響、ミスマッチ防止、会社理解、差別化、制作・更新コストなどを踏まえた、僕なりの実務上の評価です。

そして、もう一つ。100点のコンテンツを全部詰め込めば、最強の採用サイトになるわけでもありません。

重要なのは、「自社が採りたい人は、何を知れば安心して応募できるのか」。会社によって、その答えは変わります。

その前提で、一つずつ見ていきます。

まず一覧。採用サイトに入れる価値を採点してみる

コンテンツ入れる価値主な役割
仕事内容の詳細100点自分にできる仕事か判断する
給与・賞与・手当100点応募条件を判断する
休日・勤務時間・残業・働き方98点プライベートと両立できるか判断する
募集要項98点応募条件を最終確認する
一日の流れ・実際の仕事量96点働く生活を具体的に想像する
実際の職場・仕事写真95点職場のリアルを視覚的に伝える
向いている人・向いていない人95点ミスマッチを減らす
入社後の教育・最初の3か月93点未経験者の不安を減らす
キャリア・昇給・成長イメージ93点入社後の未来を見せる
仕事の大変なところ92点入社後ギャップを減らす
やりがい・仕事の意味92点この仕事を続ける意味を伝える
応募・選考フロー90点応募前の不安や離脱を減らす
社員インタビュー90点実際に働く人をモデルケースとして見せる
数字で見る会社88点働き方の実態を短時間で伝える
会社のビジョン・今後85点会社の未来と自分の仕事をつなげる
FAQ82点細かな不安や疑問を解消する
事業内容・会社概要80点会社としての信用や安定性を伝える
代表メッセージ70点経営者の考えを伝える
採用動画70点文章や写真では伝わらない空気を補う
社内イベント紹介45点文化の一部分を伝える
派手なWeb演出35点印象形成。情報理解を邪魔すれば逆効果

こうして並べてみると、面白いことが分かります。上位に来るもののほとんどが、「会社を格好良く見せるコンテンツ」ではありません。仕事内容、給与、休日、残業、実際の一日。かなり現実的です。

2026年8月のマイナビ調査でも、中途求職者が応募・入社を検討する際に重視する情報は「給与・手当・賞与」が59.4%で最も多く、次いで「休日休暇・福利厚生」が46.7%でした。また企業側が、求職者の反応向上に効果があったと感じた情報発信施策では「採用ホームページ」が45.8%で最多でした。

厚生労働省も2026年3月改定の手引で、事業・業務内容、習得できるスキル、入社後のキャリアパス、テレワーク、副業、育児休業、短時間勤務など、かなり具体的な職場情報の提供を挙げています。

つまり、最初に考えるべきなのは「どう格好良く見せるか」ではなく、「求職者が判断するために必要な現実を、どこまで見せられるか」なのだと思います。

100点:仕事内容の詳細

これは最優先です。「営業職」「ドライバー」「事務」「エンジニア」と書くだけでは、仕事内容を説明したことにはならないと思います。

営業なら、新規なのか既存なのか。一日何件くらい訪問するのか。電話営業はあるのか。ノルマはあるのか。一人で動くのか、チームなのか。ドライバーなら、何を運ぶのか。一日何件回るのか。荷物は重いのか。運転している時間はどの程度か。休憩はどう取るのか。事務なら、電話対応が中心なのか、入力作業が中心なのか。顧客対応はあるのか。忙しい時間帯はいつなのか。

職種名ではなく、「自分が明日からここで働いたら何をするのか」まで見える状態を作る。

厚生労働省も、ミスマッチを防ぐためには、可能であれば会社全体の情報だけでなく、所属予定の部署や担当予定のプロジェクトチーム単位まで具体化することが望ましいとしています。

だから100点です。

100点:給与・賞与・手当

ここも逃げない方がいい。いくら雰囲気の良い採用サイトを作っても、給与が分からなければ応募を判断できません。

月給だけでなく、可能なら手当、賞与、昇給、初年度の想定年収、数年後のモデル年収まで見せる。経験によって給与が変わる会社なら、モデルケースを出してもいいと思います。

「当社規定による」で全部隠して、その上に企業理念や社員の笑顔を大量に載せても、求職者が知りたい順番とはズレています。

実際、最新のマイナビ調査でも「給与・手当・賞与」は求職者が最も重視する情報でした。

求職者が最も知りたいことを、探さなくても分かる場所に置く。これはかなり重要です。

98点:休日・勤務時間・残業。そして「プライベート」

ここは単なる福利厚生紹介ではありません。僕なら、「この会社に入ったら、仕事以外の生活がどうなるのか」を伝えるコンテンツとして考えます。

何時ごろ帰れるのか。休日は何曜日なのか。年間休日は何日なのか。有給は実際に取れているのか。希望休は出せるのか。繁忙期は残業がどのくらい増えるのか。子どもの行事がある日は休めるのか。副業はできるのか。

もっと踏み込めるなら、「平日の夜に何ができるのか」まで想像できると強い。

17時半に仕事が終わって18時には帰れる会社と、毎日21時まで働く会社では、仮に給与が同じでも生活は全く違います。土日が完全に休めるのか、平日休みなのかによっても、家族や友人との過ごし方は変わります。

求職者が選んでいるのは仕事だけではありません。その仕事を含めた生活です。

厚労省の手引でも、在宅勤務、テレワーク、副業・兼業、育児休業、短時間勤務などは、求職者が開示・提供を求める情報の例として挙げられています。制度についても「ある・ない」だけでなく、実際の利用状況まで伝えることが望ましいとしています。

だから僕は、プライベートの見え方をかなり高く評価します。

98点:募集要項

当たり前すぎて軽視されがちですが、最後に応募可否を確認する場所です。勤務地、給与、勤務時間、休日、雇用形態、試用期間、必要資格、待遇。ここは余計な演出をせず、分かりやすくまとめる。

そして、他のページと情報を矛盾させない。

社員インタビューには「ほぼ残業なし」と書いてあるのに、募集要項では固定残業がかなり含まれている。サイトには年間休日120日とあるのに求人媒体では115日になっている。こういうズレは、一気に信頼を失う原因になります。

厚生労働省も、求職者へ提供する情報は入社後のミスマッチが可能な限り生じないよう、実態に近い正確な内容にする必要があり、長期間更新されていない情報は見直すべきだとしています。

96点:一日の流れと、実際の仕事量

「仕事内容」を「生活」に変換するコンテンツです。

9:00 出社。10:00 営業。12:00 昼休憩。

これだけでも無いよりはいい。でも、もう少し踏み込みたい。

その時間帯に何をしているのか。誰と関わるのか。忙しさはどの程度か。休憩は実際どこで取るのか。一日に何件くらい対応するのか。何時頃が一番忙しいのか。

仕事量まで分かると、「自分がこの会社に入ったら、こんな一日を過ごすんだろうな」とかなり具体的に想像できます。

一日の流れは定番コンテンツですが、ただ時刻表を作るのではなく、「働く実感」まで伝えられれば価値はかなり高いと思います。

95点:実際の職場・仕事写真

写真は装飾ではなく、職場情報です。

実際に働く場所や車、道具。本当にいる人、その服装。
ここを見せる。

採用撮影だからといって、全員が横一列で腕を組み、カメラに向かって笑っている写真だけでは、働く姿はあまり分かりません。

仕事をしているところ。休憩しているところ。社員同士が話しているところ。実際のお客様と接している様子。職場の広さや設備。

そういった写真を混ぜる。

文章を1000文字読むより、一枚の写真で分かることもあります。

95点:向いている人。そして「向いていない人」

僕は、採用サイトならここまで書いた方がいいと思っています。

「明るく前向きな人歓迎」ではなく、一人で黙々と作業することが苦にならない、時間管理が得意、細かい確認を面倒だと思わない、人と話すことが好き、など具体的にする。

さらに、「向いていない可能性がある人」も書く。

毎日必ず決まった時間に帰りたい人には繁忙期が合わないかもしれない。一日中誰かと話しながら働きたい人には、この仕事は孤独に感じるかもしれない。自分のペースだけで仕事を進めたい人には、チームで連携するこの職場は合わないかもしれない。

採用サイトの目的を「応募数を最大化すること」と考えるなら、こんなことは書かない方がいいでしょう。

でも、「合う人を採る」と考えるなら価値があります。

採用サイトを使って、企業が応募者を選ぶだけでなく、応募者にも企業を選んでもらう。

これがミスマッチを減らす一つの方法だと思います。厚労省も、採用活動上不利になり得る情報についても、取組状況や改善方針などとあわせて誠実に提供することが望ましいとしています。

93点:入社後の教育と「最初の3か月」

特に未経験採用では重要です。「未経験歓迎」と書いてあっても、求職者側には不安があります。

本当に自分にもできるのか。

最初の一週間は何をするのか。誰が教えるのか。一人で仕事を始めるのはいつなのか。失敗したら誰に相談するのか。

初日、一週間、一か月、三か月。

ここまで見えると、入社直後の姿をかなり想像できます。

「未経験OK」という抽象的な言葉より、「未経験者をどう育てるのか」を見せる。その方が圧倒的に信用できます。

93点:キャリア・昇給・成長イメージ

求職者が見ているのは、入社初日だけではありません。

「この会社に3年いたら、自分はどうなっているのか」

も見ています。

一年目に何ができるようになるのか。三年目にはどんな仕事を任されるのか。役職はあるのか。管理職以外の道もあるのか。資格取得はできるのか。給与はどう変わるのか。

「成長できる会社です」と書くのではなく、「どう成長できるのか」を見せる。

厚労省の最新手引でも、求職者へ提供する情報の例として「習得できるスキル」「入社後のキャリアパス」が明示されています。

キャリアマップを簡単な図にしてもいいし、実際の社員について「入社1年目→3年目→現在」と見せてもいい。

「この会社に入った先」が見えることに、大きな価値があると思います。

92点:仕事の大変なところ

「仕事の魅力」とセットで入れたい内容です。

忙しい時期がある。覚えることが多い。暑い。重いものを持つ。成果を求められる。お客様から厳しい言葉をもらうことがある。

これも仕事の一部です。

採用サイトでは、どうしても良いことだけを書きたくなります。でも、それを隠して採用できても、入社後に初めて知れば「こんなはずじゃなかった」になります。

ただし、「大変です」で終わらせる必要はありません。

「ここは大変です。ただ、そのためにこうサポートしています」

まで伝える。

以前は残業が多かったけれど、業務改善でここまで減った。夏場は暑いが、休憩や装備をこう変えた。覚えることは多いが、最初の三か月はこの教育体制がある。

ネガティブな情報を隠すのではなく、会社がどう向き合っているかまで見せる。

厚労省も、数値や制度について単に存在を示すだけではなく、実績、経年変化、KPI、今後の方針などをあわせて提示する方法を挙げています。

誠実さは弱点ではなく、採用力になることもあると思います。

92点:やりがい・仕事の意味

ここは、給与や休日とはまったく違う種類の重要な情報です。

ただし、「やりがいのある仕事です」と書いても意味はありません。

何が、誰の役に立っているのか。

例えば配送なら、「荷物を運ぶ仕事」で終わらず、その荷物の先に誰がいるのかまで見せる。医療品を届けるのであれば、その配送によって病院や患者さんの生活が支えられている。制作会社なら、自分が作ったものが企業の採用や売上、誰かの思い出につながる。介護なら、利用者本人だけでなく、その家族の生活も支えている。

そして、できれば実際のエピソードを使う。

お客様から届いた言葉。社員が「この仕事をやっていて良かった」と感じた瞬間。難しかった仕事を最後までやり遂げた話。

やりがいは、会社が宣言するものではないと思います。

「あなたの仕事には意味があります」と言われるより、自分がやった仕事と、その先で起きた出来事がつながることで、本人が感じるものです。

だから採用サイトでも、「やりがいがあります」ではなく、「この仕事の先で、何が起きるのか」を見せたい。

90点:応募・選考フロー

仕事内容や会社に興味を持った後、「応募すると何が起きるのか」が分からないのも不安です。

応募。
書類確認。
面接。
職場見学。
最終面接。
内定。

何回面接があるのか。オンライン対応はできるのか。どの程度時間がかかるのか。職場を見てから決められるのか。

ここを簡潔に見せる。

特に採用難の職種なら、いきなり正式応募だけにするのではなく、会社見学やカジュアル相談、LINEでの質問など、一段階手前の入口を作る方法もあります。

応募ボタンを置くだけではなく、「応募する怖さを減らす」のも採用サイトの役割です。

90点:社員インタビュー

作り方によっては50点にも90点にもなるコンテンツです。

「風通しが良いです」「優しい人が多いです」「毎日楽しいです」だけなら、正直そこまで価値は高くないと思います。

聞きたいのはもっと具体的なこと。
なぜ入社したのか。最初に困ったこと。想像と違ったこと。一番大変だった仕事。今できるようになったこと。給与や役割がどう変わったか。プライベートはどう変わったか。なぜ辞めずに働いているのか。今後何をしたいのか。

社員インタビューは、会社を褒めてもらう場所ではありません。
「この会社に入ったら、こういう人生を送っている人がいる」という実例です。

だから、年齢も職種も家庭環境も違う社員を複数出せるとさらに強い。独身の20代社員だけでなく、子育て中の社員、未経験入社した社員、長く働いている社員など、それぞれ違う「働き方の実例」を見せられます。

88点:数字で見る会社

スマホとの相性が良く、かなり効率のいいコンテンツです。

平均勤続年数。残業時間。有給取得日数。年間休日。未経験入社率。平均年齢。男女比。育休取得実績。離職率。

長い文章を読まなくても、会社の実態を短時間で理解できます。

ただし、「都合の良い数字だけを並べる」のではなく、求職者の判断材料として使う。そして数字を出すなら、「いつの数字なのか」「何を基準に計算したのか」もできるだけ明確にする。

厚労省も、任意に数値情報を提供する場合は、定義や算出方法を明示しないと求職者の誤解を招く可能性があるとしています。

「平均残業時間8時間」とだけ書くより、「2025年度/正社員○名の月平均」と書いてある方が信用できます。

85点:会社のビジョン・これから

会社はどこへ向かっているのか。なぜ今、人を採用しているのか。三年後にどんな会社になろうとしているのか。

この情報もあるといい。

例えば、「事業拡大のため10人募集しています」だけでなく、「現在このサービスが伸びていて、三年後にはこの地域まで広げたい。そのために今回新しいチームを作ります」まで分かれば、募集している理由が見えます。

会社のビジョンと、自分が採用される意味がつながる。

求職者は、「今の会社」だけでなく「自分が入った後、この会社がどうなっていくのか」も見ています。

ただし、給与や仕事内容がほとんど書かれていないのに、企業理念だけ何千文字も語るのは順番が逆です。

まず働く現実。その上にビジョンがある。

この順番がいいと思います。

82点:FAQ

地味ですが強いコンテンツです。

「車は必要ですか」「未経験でも大丈夫ですか」「副業できますか」「面接時の服装は?」「子どもの急な発熱時は?」「入社日は相談できますか」「髪色はどこまでOKですか」。

採用担当者が何度も聞かれている質問は、そのままFAQ候補です。

応募者の不安を減らせるだけでなく、採用担当側の対応時間も減らせます。

新しいFAQを考える必要もありません。

実際の応募者から聞かれた質問を、少しずつ追加していけばいい。

そうすると採用活動をするたびに、採用サイト自体も強くなっていきます。

80点:事業内容・会社概要

求職者は、自分の仕事だけを見ているわけではありません。

そもそも何をしている会社なのか。顧客は誰なのか。どんな実績があるのか。会社として続いていきそうなのか。

こうした情報も判断材料です。

ただし、コーポレートサイトに十分な情報があるなら、採用サイトで全部コピーする必要はありません。

「会社について詳しく知る」というリンクでコーポレートサイトへつなぐ方法でもいい。

採用サイトとコーポレートサイトには、それぞれ役割があります。

70点:代表メッセージ

代表メッセージは不要だとは思いません。ただ、優先順位はそこまで高くない。

会社沿革を長々と語るより、なぜこの会社をやっているのか、なぜ今人を採用しているのか、どんな人と働きたいのか、社員にどうなってほしいのか、を短く伝えた方が価値があります。

特に中小企業では、経営者の考え方が働き方や会社文化に直接影響することも多いので、「社長が何を考えているのか」が重要になる会社もあります。

逆に、ありきたりな定型文しか書けないなら、無理に長い代表メッセージを作る必要はないと思います。

70点:採用動画

動画は、動画だから価値が高いわけではありません。

文章や写真では分かりにくいものを伝えられるなら価値がある。

仕事中の動き。職場の音。社員の話し方。一日の流れ。オフィスや現場の空気。

こういう情報なら、動画はかなり強い。

逆に、ドローン映像と格好いい音楽を使った企業PVだけで、仕事内容が全く分からないなら優先順位は下がります。

動画も「映像を作ること」ではなく、「何を理解してもらうか」から考えるべきです。

45点:社内イベント

社員旅行、BBQ、飲み会、忘年会。

もちろん、それが本当に会社文化として重要なら載せてもいい。

ただ、それだけを大きく見せるのは少し危険です。

求職者が知りたいのは、「飲み会がある会社か」より、「日常的にどんな関係で働いているか」。

人間関係の良さを伝えたいなら、イベント写真を大量に並べるより、困ったときにどう相談するのか、仕事中にどう連携しているのか、昼休憩はどう過ごしているのか、といった日常の方が判断材料になると思います。

35点:派手な演出・アニメーション

これはデザインを仕事にしている側として、あえて低くつけたい。

僕自身、Webの動きや演出は好きですし、会社らしさを伝えたり、サイトを印象に残したりするために効果的なこともあります。

実際、採用サイト研究でも、サイトの使いやすさや見た目は企業の魅力度に影響することが確認されています。252人を対象にした実験では、サイトの使いやすさを通じて企業への魅力度が変化することが示され、別の研究でも、見やすく魅力的な採用サイトを見ることで企業への好感度や雇用主としてのイメージが変化しています。

だからデザインは重要です。

でも、給与が分からない。仕事内容が分からない。応募ボタンが見つからない。なのにアニメーションだけものすごい。

これは採用サイトとしては弱い。

デザインは、情報を理解しやすくし、その会社らしさを正確に伝えるために使う。

主役ではなく、魅力や情報を増幅する装置だと思います。

100点の項目を全部入れれば、「最強」なのか

ここまで採点しておいてですが、答えは違います。

会社によって、必要な情報の比重が違うからです。

未経験者を多く採用したい企業なら、「教育」「一日の流れ」「向いている人」の点数はさらに高くなるでしょう。経験者採用なら、「給与」「裁量」「キャリア」「具体的な仕事内容」がさらに重要になる。

小さな子どもを持つ人を採用したいなら、「休日」「残業」「希望休」「育児制度」「実際に子育てしながら働く社員」の価値はもっと上がります。

若手を採用したいなら、「成長」「やりがい」「キャリア」「会社の未来」の比重が上がるかもしれません。

つまり今回の点数は、あくまで一般的な基準です。

本当の採用サイト設計は、「うちが採りたい人は、応募前に何を知りたいのか」を考えるところから始まります。

厚労省の手引でも、情報は多ければ多いほどいいわけではなく、過度な情報提供はかえって分かりにくくなり、必要以上に応募者を絞り込む可能性もあるとされています。

だから全部載せるのではなく、必要なものを選ぶ。

ここが重要です。

僕なら、採用サイトを作る前にこれを聞く

だから僕が採用サイトを作るなら、いきなりデザインは始めません。

まず会社に聞きます。

今、誰を採りたいのか。なぜその人が必要なのか。今いる社員はなぜ入社したのか。辞める人はなぜ辞めるのか。今残っている社員はなぜ残っているのか。仕事の一番大変なところは何か。仕事をしていて一番嬉しい瞬間は何か。何時ごろ帰れるのか。休日はどんな過ごし方をしている人が多いのか。三年働いたら何ができるようになるのか。給与はどう変わるのか。会社は三年後どこへ行こうとしているのか。

もっと言えば、現在の社員にも聞きたい。

「入社する前に、一番不安だったことは何ですか」

「入社前に知っておきたかったことはありますか」

「求人や会社サイトを見て、実際と違ったところはありましたか」

「この会社で働いていて、一番好きなところはどこですか」

こういうことを整理した上で、「では、何を採用サイトで見せるべきなのか」を決める。

会社が見せたいものから作るのではなく、求職者が判断するために必要なものから作る。

それが採用サイト設計のスタートだと思います。

最強の採用サイトとは何か

僕が考える最強の採用サイトは、一番派手なサイトではありません。ページ数が一番多いサイトでもありません。社員全員が笑っているサイトでもありません。

求職者がサイトを見終わったときに、

どんな仕事をするか分かった。

いくらもらえるか分かった。

何時ごろ帰れるか分かった。

休日の生活まで想像できた。

大変なところも分かった。

でも、この仕事をやる意味も分かった。

三年後の自分も少し想像できた。

この会社がどこへ行こうとしているかも分かった。

そして、

「それでも、ここで働きたい」

と思える。

そこまで作れた採用サイトが、一番強いのだと思います。

つまり最強の採用サイトとは、「会社を最も良く見せるサイト」ではなく、「その会社で働く現実と魅力を、最も正確に伝えられるサイト」。

求職者が自分で判断できる情報を揃え、自社に合う人が応募し、合わない人は応募前に気づける。そして公開後も、応募者や入社者に話を聞きながら内容を改善していく。

そんな採用サイトなら、採用するたびに少しずつ強くなっていきます。

前回、採用サイトを「会社と求職者がお互いを理解するための器」と書きました。今回あらためて考えてみても、結局そこに戻ってきました。

良い採用サイトを作る方法は、格好いい採用サイトを真似することではありません。

まず、自分たちの会社で働くということを、誰よりも深く理解すること。

そこから始まるのだと思います。

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