商品やサービスを紹介する動画で、まず大切なのは「伝わること」です。

何の商品なのか。
どんなサービスなのか。
誰の、どんな課題を解決するのか。
利用すると何が変わるのか。

そして、企業が発信する以上「信頼できること」も欠かせません。

情報が整理されていて、誤解なく伝わり、安心してサービスを検討できる。

ここまでは、商品説明動画を制作するときに多くの企業が意識することだと思います。

でも、もうひとつ。

意外と忘れられがちなものがあります。

面白いことです。

正しく説明しても、見てもらえるとは限らない

商品説明動画では、伝えたい情報がたくさんあります。

サービスの特徴、機能、料金、導入メリット、他社との違い。

それらを整理して、分かりやすく説明する。

もちろん重要です。

ただ、どれだけ正しい情報を入れても、途中で見るのをやめられてしまえば、その先の情報は届きません。

特にWebやSNSでは、ユーザーは「この動画を最後まで見なければならない」という状況にはありません。

面白くなければ、閉じる。

興味を持てなければ、飛ばす。

だから商品説明動画では、

「何を伝えるか」と同じくらい、「続きを見たいと思えるか」を考える必要があります。

「面白い」は、ふざけることではない

ここでいう面白さは、笑わせることだけを意味しているわけではありません。

「なんだろう?」

「次はどうなるんだろう?」

「そういうことか」

「この表現、気持ちいいな」

「なるほど、イメージできた」

そんな小さな感情の動きも、すべて面白さだと考えています。

商品説明だからといって、最初から最後まで説明し続ける必要はありません。

むしろ、情報を受け取るための「体験」をつくる。

その結果として、商品のことを理解してもらう。

MONDAY BLUEでは、そんな順番で映像を考えることがあります。

ANKENOVAのサービス説明動画で考えたこと

今回、日本ビジネスアート株式会社様のサービス「ANKENOVA」の説明動画を制作しました。

ANKENOVAは、営業活動に必要な情報を整理し、企業ごとに必要な情報へアクセスしやすくするためのサービスです。

ただ、その仕組みを最初から機能一覧として説明しても、サービスを知らない人にとっては少しイメージしづらい。

そこで今回の映像では、まずサービスの機能ではなく、そのサービスによって生まれる世界を見せることから始めました。

最初に見せたのは、機能ではなく「理想郷」

ANKENOVAの商品説明動画で、営業マンが膨大な情報をもとに営業先リストを作成しているシーン

映像は、TVCMのような実写風のシーンから始まります。

実写“風”としているのは、このシーン自体が生成AIを活用して制作された映像だからです。

画面には、さまざまな情報ソースが飛び交っています。

それらが夜景の中へ消えていく。

すると、街を構成していたビル群が左右へ押しのけられ、その奥からまったく別の空間が現れます。

ANKENOVAの商品説明動画で、情報データが夜景に流れ込みビル群のなかから理想郷が出現したシーン

そこにあるのは、いわば営業マンにとっての理想郷です。

さまざまな情報が集まり、必要なものを自由に探すことができる。

イメージしたのは、楽市楽座のような場所でした。

「豊富な情報が集まり、その中から自分に必要なものを選べる」

というANKENOVAの価値を、いきなり文章や図解で説明するのではなく、まずひとつの世界として見せています。

データベースを「水晶」で表現する

次に伝える必要があったのは、

その理想郷が、どのような情報によって構成されているのか。

ということでした。

ここでも、そのままデータベースの図を出すのではなく、ひとつ比喩を挟んでいます。

登場するのは、占いなどで使われる「水晶」です。

ANKENOVAの商品説明動画で、楽市楽座のような世界が推奨に閉じ込められ、それを構成するデータベースが吸いこまれていくシーン

水晶の中には、先ほど登場した楽市楽座のような世界が閉じ込められています。

そして、その水晶へさまざまなデータが次々と吸い込まれていく。

膨大な情報によって、この世界が形成されていることを視覚的に表現しました。

吸い込まれた情報から、自社に必要なものを選ぶ

水晶に吸い込まれたデータは、そのまま消えて終わりではありません。

今度は、カテゴライズされた複数の選択肢として画面に現れます。

ANKENOVAの商品説明動画で、読み込まれたデータ群がカテゴリとして出力され、それを営業マンの手がでてきて選択するシーン

そこへ営業担当者の手が伸び、自社に合った情報を選択する。

すると、映像は再び最初に登場した理想郷へ戻っていきます。

つまり、

情報が集まる。
整理される。
必要な情報を選ぶ。
営業活動に活用できる。

というサービスの構造を、説明図だけではなく、一連の出来事として体験できる構成にしています。

そして最後は、ちゃんと説明する

もちろん、すべてを抽象的な演出だけで終わらせるわけではありません。

映像の後半では大きく方向を切り替えています。

ここからは、タブレットを使った実際の利用画面をイメージした映像を中心に、具体的な機能を紹介します。

ANKENOVAの商品説明動画で、後半のタブレットで実際の画面を映しながら機能説明をするシーン

前半では、

「どんな世界を実現するサービスなのか」

を感じてもらう。

後半では、

「では、実際に何ができるのか」

を理解してもらう。

面白さと分かりやすさのどちらか一方を選ぶのではなく、それぞれが必要な場所で役割を持つように構成しました。

面白さは、理解を邪魔するものではない

企業の商品説明動画では、

「変わった演出を入れると、伝わりにくくなるのではないか」

と考えることもあると思います。

もちろん、演出そのものが目的になってしまえば、その通りです。

でも、うまく設計された面白さは、説明を邪魔するどころか、理解を助けることがあります。

ANKENOVAの例でいえば、

「膨大な情報を集約したデータベース」

と文章だけで説明するより、

さまざまな情報が水晶へ吸い込まれ、その中にひとつの世界が形成される

という映像を見せた方が、概念を直感的にイメージできます。

比喩やストーリー、世界観は、装飾ではありません。

目に見えないサービスを、頭の中でイメージできる形に翻訳する手段にもなります。

効果を考えるほど、「面白さ」が必要になる

商品説明動画に求められる効果を突き詰めていくと、

分かりやすいこと。

信頼できること。

そして、

記憶に残ること。

が重要になってきます。

理解してもらっても、翌日に忘れられてしまえば、比較検討の候補から外れてしまうかもしれません。

一方で、

「あの映像、なんか面白かったな」

「あの水晶のやつ」

「あの街が開くサービス」

と記憶に残っていれば、あとからサービスを思い出してもらえる可能性が生まれます。

以前JOURNALで書いた「効果を突き詰めた先にあるのは、エンターテイメントだった」という考え方も、まさにここにつながっています。

効果を突き詰めた先にあるのは、エンターテイメントだった

商品説明動画だから、説明する。

広告だから、売る。

それだけではなく、

どうすれば、その情報を受け取る時間そのものを面白くできるか。

そこまで考えることが、結果として「伝わる」「覚えられる」「興味を持たれる」ことにつながっていくと考えています。

商品説明動画は、面白くないといけない。

少し強い言い方かもしれません。

もちろん、すべての商品説明動画に派手な演出が必要なわけではありません。

静かな映像が適している商品もあります。

信頼感を最優先すべきサービスもあります。

それでも、見る人の感情がまったく動かない映像でいいのか。

という問いは、持っておきたいと思っています。

面白い。

気になる。

驚く。

納得する。

気持ちいい。

イメージできる。

そうした感情の動きを設計しながら、最後にはきちんと商品について理解できる。

伝わる。信頼できる。そして、面白い。

商品説明動画をつくるとき、MONDAY BLUEが大切にしていることです。