律諤士
『闇堕ちし狂う亡者共』
重厚なメタルサウンドと、 社会へ向けられた強い言葉を視覚化する。
制作のスタート時にいただいたご希望は、 「黒系の重厚感」「シックな雰囲気」、 そしてリアルな実写風のビジュアルでした。
また、ジャケットだけではなく、 バックインレイ、帯、盤面、ブックレットを含めた CDパッケージ一式として制作することが決定。
まずは収録楽曲の歌詞を読み込み、 作品全体に共通する感情やイメージを整理するところから デザインを始めています。
METAL
CD PACKAGE / ALBUM ARTWORK
社会の歪みを、
群衆の姿に置き換える。
歌詞全体から読み取ったのは、 社会への強い怒りや不信、 権力への反発、 そして堕ちていく人間や群衆のイメージでした。
そこで表紙では、 政治や権力を象徴する建築物を背景に、 大勢の群衆が押し寄せる構図を制作。
さらに群衆の中には、 一見すると人間でありながら、 よく見ると異形にも見える存在を紛れ込ませています。
これは単なるホラー表現ではありません。
理性が崩れ、 怒りや狂気が噴き出した状態。 社会の歪みが、人間の姿そのものにまで にじみ出てしまったような不気味さ。
その感覚を象徴する存在として、 群衆の中へ「人外」の気配を忍ばせました。
黒と金。
暴力的ではなく、重く。
全体のベースは黒。 アクセントとして金を使用しています。
黒は単なる背景色ではなく、 写真の暗部、曇天、群衆、 ざらついた質感を重ねながら、 複数の黒が存在するように設計しました。
そこへ金色のタイトルやラインを置くことで、 ただ荒々しいだけではなく、 アルバムとしての重厚感と品格を加えています。
また、 写真そのものを派手に加工しすぎず、 暗部に情報を沈ませることで、 一目で全てが読み取れない緊張感を残しました。
「目立たせる」よりも、 「空気を重くする」。
そんな考え方で、 パッケージ全体のトーンを統一しています。
違和感は、
近づいて初めて見える。
今回使用しているビジュアル素材は、 一見すると実際のデモや抗議活動を撮影した 記録写真のように見えるリアルな実写風表現をベースにしています。
ただし、 細部まで目を向けると、 その風景には現実には存在しない要素が混ざっています。
群衆の中に紛れた異形の存在。 仮面のような顔を持つ人物。 人間の姿をしていながら、 どこか人間ではないように感じるシルエット。
これらは最初から強く主張させるのではなく、 まずは「現実の社会風景」として受け取ってもらい、 見続けるうちに小さな異変へ気づくよう配置しています。
作品の世界に存在する狂気を、 分かりやすい怪物として描くのではなく、 日常の中へ静かに侵入しているものとして見せる。
そのため、 遠目では現実的に、 近づくほど不穏に見えるという 二重の印象を意識して素材を制作・選定しました。
歌詞を読むページではなく、
社会の記録として見せる。
今回の6Pブックレットでは、 歌詞を綺麗に並べるだけの歌詞カードにはしていません。
各ページに、 街頭の群衆、デモ、プラカード、 新聞記事のような断片、 メモや資料を思わせるビジュアルを配置。
楽曲で描かれている出来事が、 実際にどこかで起きていたかのような、 記録資料を読み進める感覚を目指しました。
ページをめくるごとに、 社会への違和感が膨らみ、 やがて群衆の怒りへ変わっていく。
その流れを、 写真や資料の断片を少しずつ増やしながら 見せています。
強い言葉を持つ歌詞だからこそ、 デザインで言葉そのものを押しつぶすのではなく、 読みやすさを残しながら、 その周囲に世界観を構築しました。
その怒りが生まれた世界をつくる。
外側は混乱。
内側には、その後の静寂。
ジャケットや歌詞カードでは、 群衆の怒りや社会の混乱を強く描いています。
一方で、 CDを外したときに現れるバックインレイ内側では、 表現の方向を変えました。
そこに配置したのは、 荒廃し、人の気配が消えた 議事堂を思わせる建築物。
激しい怒りを直接的に描くのではなく、 すべてが終わったあとの 崩壊や虚無感によって静かに表現しています。
群衆で埋め尽くされた外側から、 人のいなくなった内側へ。
ケースを開くという行為そのものが、 混乱の先にある世界へ進んでいくような 構成になっています。
「国民の怒り」を、
一つの異形へ。
CD盤面では、 アルバム全体を通して描かれる 「国民の怒り」を一つの存在として具現化しました。
暗い空の下で拳を掲げる、 巨大な異形の人物。
ジャケットでは群衆の中に紛れていた 人外の気配を、 盤面ではより象徴的な存在として見せています。
背景には作品世界とつながる建築物を残し、 黒を中心とした暗い色調と、 タイトルの金によって パッケージ全体との統一感を持たせました。
商品情報も、
作品世界の中に置く。
帯には価格や商品情報など、 CDとして必要な情報を掲載しています。
ただし、 帯だけが別のデザインに見えてしまうと、 ジャケット全体の没入感が失われてしまいます。
そこで表紙側は、 ジャケットの群衆や写真と自然につながる構成にし、 中央には黒地と金のタイトルを配置。
裏側は情報量を抑えながら、 黒と擦れた質感を維持し、 パッケージ全体から切り離されないよう整えています。
世界観を保ちながら、
情報を正確に収める。
CDパッケージには、 ビジュアルだけでなく多くの情報が入ります。
曲順、歌詞、作詞・作曲クレジット、 メンバー構成、録音・ミックス・マスタリング情報、 SNS情報、価格、権利表記。
今回はそれらを 作品世界の中へ自然に組み込みながら、 読みやすさと正確性の両立を図りました。
とくにブックレットでは、 情報量の多い歌詞を扱うため、 一曲ごとに文字量を確認しながら、 行間、段組み、写真との距離を細かく調整しています。
デザインを、
実際に印刷できるデータへ。
CDパッケージの制作は、 デザインが完成しただけでは終わりません。
今回はプレス会社指定のテンプレートを使用し、 各パーツを実際に印刷・製造できる 入稿データとして仕上げました。
画像解像度、CMYK変換、 インキ濃度、レイヤー構成、 アピアランス、 塗り足しなど、 印刷工程で問題が起きないようデータを調整。
デザインから入稿データまで一貫して担当することで、 ビジュアルの完成イメージを維持したまま、 実際のCD制作へつなげています。
ジャケットではなく、
アルバムそのものを設計する。
studio MONDAY BLUEでは今回、 作品の歌詞・コンセプトの読み取りから、 ビジュアル方向性の提案、 CDジャケット、6Pブックレット、 バックインレイ、帯、盤面まで CDパッケージ一式を制作しました。
それぞれを単独のグラフィックとして作るのではなく、 「群衆の混乱」 「怒り」 「崩壊」 「その後の虚無」 という作品世界を、 パッケージの各面へ役割を分けながら展開しています。
音楽そのものを聞く前から世界観が始まり、 ケースを開き、 歌詞を読み、 ディスクを取り出すまで、 同じ作品の中にいる。
『闇堕ちし狂う亡者共』では、 そんなCDパッケージとしての体験を目指しました。
闇堕ちし狂う亡者共
Artist:律諤士
Eiji Miyauchi:Vocal / Guitar / Bass
daiki:Drums
Kengo Hamamoto:Chorus
Produced / Directed:Eiji Miyauchi
Recorded / Mixed / Mastered:Void)))Lab
Recorded / Mixed / Mastered / Engineered:Ryuhi Inari
Logo Design:イカげそ
CD Artwork / Design:studio MONDAY BLUE
音楽の世界観を、
手に取れる形へ。
studio MONDAY BLUEでは、 CDジャケット単体のデザインだけでなく、 楽曲や歌詞、アーティストの思想を読み取り、 ブックレット、帯、盤面、バックインレイ、 印刷入稿データまで、 音楽作品全体のアートワーク制作に対応しています。