縦型LEDスクリーン アニメーション制作事例|MONDAY BLUE

魔法使いグレータの家

10分割スクリーン制作の舞台裏

令和7年12月1日、MONDAY BLUE制作のアニメーションが、都内高層オフィスビルのエントランスホールに設置された高さ7mの縦型LEDスクリーンで初披露されました。今回は、MONDAY BLUEが手がけた最新プロジェクトをご紹介します。

地域の幼稚園児300名を招いた点灯式に加え、ビルを訪れた一般の来場者も上映を見ることができる構成となり、多くの人に足を止めていただく機会となりました。


48時間で世界観を固める

MONDAY BLUE Animeの最新プロジェクトは、公式相談フォーム「MONDAY BLUE POST」に届いた一通の問い合わせから始まりました。連絡からわずか3時間後にはオンラインでの打ち合わせが実現。イベントの目的、スクリーン仕様、来場者層、アニメーションの尺や構成といった制作に必要な要件が短時間で共有されました。

今回の舞台は、都内高層オフィスビルのエントランスホールに設置される高さ7mの縦型巨大LEDスクリーン。地域の幼稚園児300名を招いた点灯式に加え、一般公開期間中はビルを訪れた来場者も鑑賞する、クリスマスアニメーションの制作依頼でした。

その場で決まったのは、まず2日間でサンプルカットを制作し、それを基に正式な依頼を判断するという流れ。こうして、制作チームの48時間にわたる短期集中の制作がスタートしました。


世界観の「軸」を一気に固める

怒涛のサンプル制作期間において、単にカットを仕上げるだけでは意味がありませんでした。重要だったのは、作品全体の方向性を決定づける「世界観の軸」を一気に固めることです。設定、時代背景、メッセージ、構成、キャラクター造形、タッチ。本来であれば段階的に詰めていく工程を、極限まで圧縮して進めていきました。当然、不採用となった案も少なくありません。しかしそれは時間が足りなかったからではありません。「軸から外れる案は採用しない」という判断を、一貫して貫いた結果でした。その軸とは、「子どもたちと来場者の記憶に残り続ける映像であること」。

「作品の役割は、その場を華やかにすることだけではありません。
時が経っても、ふと蘇るような光景をつくること。
見た人の心に残る“静かな記憶”を目指しました」

この考え方が、短期間の中で数多くの判断を支える指針となりました。


作品に込めた願い

今回の映像はクリスマスの点灯式を彩るものですが、MONDAY BLUEはそこに、もうひとつの願いを静かに込めています。それは、「どんな状況でも誰かを思う心を忘れないでほしい」というメッセージです。物語の中心人物である魔法使いグレータの背景設定には、「優しさは見えなくても、確かに届く」という価値観が象徴的に織り込まれています。この想いは、決して声高に語られることはありません。大きな感動や劇的な展開で伝えるのではなく、風景や光、佇まいの中にそっと滲ませる構成が選ばれました。誰かのために行動することが必ずしも報われるとは限らない現実。その中でもなお、他者を思う心は失われていない。そんな小さな希望を、映像の奥底に沈めるように配置しています。

設定資料|未公開ビジュアル

※画像をタップすると拡大表示されます

グレータ キャラクター設定資料
グレータ|キャラクター設定ラフ(未公開)
グレータの家 空間設定資料
グレータの家|空間・光の設計メモ
グレータの家 空間設定資料
グレータの家|空間・光の設計メモ
グレータの家 空間設定資料
グレータの家|空間・光の設計メモ

縦型LEDスクリーン アニメーションならではの課題-10分割スクリーンに挑む-

制作が本格化すると、10分割された縦型巨大スクリーンという特殊な仕様が、想像以上の課題として立ちはだかりました。スクリーンは均等に分割されておらず、区画ごとに必要な情報量も異なります。そのため、一枚の絵としての整合性と、10枚のパネルとしての成立を同時に満たす、精密な解像度設計が求められました。さらに、縦型分割によって、通常のアニメーション演出がそのまま使えないという制約も生じます。場面転換の方法が限られ、キャラクターや動きが枠で見切れるリスクも常につきまといました。そのため、演出を考えるたびに、この動きは枠に切られないか。情報は正しく伝わるか。といった確認が欠かせませんでした。


制約を、表現に変える

分割の影響は作画量にも及びました。複数のアスペクト比で展開する必要があり、単純なトリミングでは世界観が成立しない場面も多く発生しました。その結果、省略できないカットや描き込みが想定以上に増え、作画とレイアウトの密度は通常よりも高くなっていきます。こうした制約の中で、チームは次第に発想を転換していきました。分割枠を欠点として捉えるのではなく、作品の特徴として活かす演出へと舵を切ったのです。窓越しのような奥行き。多面で反応するリズム。分割が生む静けさと余白。制約があったからこそ見えてきた表現でした。


“最後までやり切る”姿勢

制作後半では、イベント演出との調整や確認工程に伴い、修正や追加カットが相次ぎました。一度は順調と思われた進行も、度重なる調整で揺らぎ、チームが頭を抱える場面もありました。それでも、「許された範囲でクオリティを磨き続ける」という姿勢だけは、最後まで変わりませんでした。特に象徴的だったのが、サンプルカットとして選ばれた「魔法使いグレータの家」のシーンです。魔女狩りの過去を持ち、子どもたちの前に姿を現せないグレータ。それでも彼らを思い、自分の代わりにサンタクロースを送り出すという設定。その優しさを空気として宿すため、家の光や生活の気配、静かな温度感に細心の注意が払われました。

「このシーンは作品の“心臓”でした。
そこが多くの人に印象に残ったという声は、素直に嬉しいですね」


最後に

縦型巨大スクリーン、10分割という特殊仕様。短期間のサンプル制作と、本制作での度重なる修正。数多くの挑戦を経て完成した今回の作品は、エントランスを訪れる誰もが観客となる光景を生み出しました。子どもたちだけでなく、多くの大人が足を止めて見入る。その場に生まれた静かな時間こそが、このプロジェクトの成果だったのかもしれません。MONDAY BLUEはこれからも、世界観を大切にしながら、心に静かに残り続ける光景を創り続けていきます。

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